「技術」を「医療」に変え、「医療」を「社会」に届ける仕事((株)RBGパートナーズ 代表取締役 (株)RMDパートナーズ東京 取締役  時田 太郎)

私は現在、医療デバイスを対象とした投資ファンドの運営に携わっています。医療機器の開発は、単に優れた技術やビジネスモデルを見つけるだけでは不十分であり、臨床ニーズ、薬事規制、製造、保険収載、そして最終的な医療現場への普及まで、複雑なプロセスを乗り越えなければなりません。
医療デバイスファンドは、この道のりを伴走する存在であります。

しかしながら、日本の医療機器産業は、高い技術力や素材技術を持ちながら、それを製品化し世界市場で事業として展開する力が十分とは言えないのが現状です。資金、人材、マーケティング力の不足などが重なり、多くの優れた技術が医療現場に届く前に消えてしまいます。
この「技術と市場の断絶」を埋めることが、医療デバイスファンドの使命でもあります。

私たちのファンドでは、医療機器開発のシードやアーリーステージに投資し、研究段階の技術を実際の製品へと育てております。特に重視しているのは、巨大市場ではなく「ミドルニッチ」と呼ばれる領域であります。

ここは競争が過度に激しくなく、しかし一定の市場規模と収益性が期待できる分野であります。多くの場合、大手企業は革新的な機器を自社で開発するよりも、スタートアップを買収することで製品ポートフォリオを拡張する傾向があり、そのため私たちは、最終的に大手医療機器企業にM&Aされることを前提に、事業を「買われる形」まで磨き上げることに注力しております。

医療機器投資において重要なのは、「技術を見る目」だけではなく、むしろ重要なのは、「医療現場の課題を見る目」であります。

医師が本当に困っていることは何か。患者の負担を減らす方法はないか。医療システム全体の効率を改善できるのか。こうした問いから出発した技術だけが、最終的に医療現場に受け入れられます。

例えば、チューブの先端位置を安全に確認できるデバイスや、ステントを使わない新しい血管治療の機器などは、医師が日々感じている不便やリスクから生まれたアイデアである。こうした技術は単なる発明ではなく、「医療の問題を解決する手段」として価値を持ちます。

医療機器の開発の先には確実に人の命と健康があります。医療デバイスファンドは、単なる投資にとどまらず、医療の未来を形にして、次の世代により優れたmade in japanを渡していく活動だと考えております。

(2026年5月24日記 (株)RBGパートナーズ 代表取締役 (株)RMDパートナーズ東京 取締役 時田太郎)