大学2026年問題:共学化・実学転換・都心回帰と経営統合による再編(開智国際大学国際教養学部教授 香山 仁)

1992年に約205万人いた18歳人口は2024年に110万人台へ縮小し、2026年には100万人割れが現実味を帯びています。

こうした人口動態の変化は、日本の大学が戦後維持してきた枠組そのものを問い直す契機となっています。

かつては進学率の上昇が大学拡大を支え、18歳人口が減少しても成長が可能でした。しかし進学率の伸びが頭打ちとなった現在、定員割れという形で構造的な歪みが顕在化し、小規模大学や女子大では志願者確保が難しく経営の臨界点に達しています。

特に2026年は、大学進学者数が減少局面へ転じるため「大学2026年問題」と呼ばれています。足許では、財務省が私立大学の4割削減を求める方針を示し、助成金の重点化を通じて統合を促す姿勢を強めています。
こうした状況は、同じく規制業である金融機関が単独成長を諦めざるを得なかった局面と似ているように感じられます。

金融機関再編の現場を経験した立場から見ると、大学はオーガニックグロースが見込めない業界に見えます。
市場が縮小する以上、単独での成長戦略は合理性を失い、統合再編による生存戦略が不可避になります。但し大学は営利企業とは異なり、教育・研究・地域貢献という公共性を担う社会組織であるため、企業M&Aの論理をそのまま適用することはできません。

大学再編の目的は収益極大化ではなく、社会ニーズを取り込み教育機能を持続させる“社会的M&A”であるべきです。
株主が存在しないため利害対立が生じにくく、「学生のニーズ確保」「教育機能の改善」といった非財務的要素を基準に柔軟な意思決定が可能です。

こうした再編圧力を強めている背景には、学生の志願動機の変化もあります。
共学志向では性別による進路選択の固定観念が薄れ、女子大が志願者確保を難しくしています。

実学志向では職業関連性を重視する学生が増え、データサイエンスやビジネスなど実学系学部の強化が求められています。都心回帰志向ではアクセスの良さや企業との距離が大学のブランド価値を押し上げています。

2026年は、大学が自らのアイデンティティを再定義する節目となります。
共学化、実学転換、都心回帰、社会的使命と整合的な戦略的合併。これらを踏まえ、新しい学びの需要を捉え直す大学こそが、未来社会を支える“知のインフラ”として再生していくと考えられます。

(2026年5月8日 記 開智国際大学国際教養学部教授 香山 仁)