| 2026年も7ヶ月が過ぎようとしていますが、毎日、毎日のニュースや情報を追いかけるだけで一苦労です。この情報の洪水に向き合いながら、それに溺れない技、なかなか簡単にはいきません。 立ち泳ぎ状態ではいずれ溺れますので、少なくとも前に進むことが感じられるようになりたいと思います。皆さんどうですか。まずは最近の生成AI時代の変化、様変わりです。すでに個々人にとってはインターネット検索は時代の歴史の遺物になりつつあります。 生成AIの回答で太宗がカバーされるので、その情報元のインターネット検索を個人がすることは極めて少なくなったのではないでしょうか。30年前のインターネット草創期1995年がどうだったかを思い出してみましょう。かつて立花隆がインターネットの世界が始まったばかりの時に『インターネット探検』(講談社)を1996年に出版し、当時のインターネット社会が急速にアメリカで浸透していく様子や、インターネットがいかに情報の宝庫で新しい空間をつくりだしたかを紹介し、インターネットがいかに情報の怪物であるかを述べました。慶応大学の村井助教授(当時)との対談なども含まれていますが、この書籍からはいかにインターネットがすごいか、そこにどういうポテンシャルがあるかなどわくわくと語りつつも危機感も感じられるところです。 あらためて読んでみると、30年前のインターネット草創期の革命的な可能性を極めて的確に意識していたことが浮かびあがります。 例えば「人間生活のあらゆる面で、情報空間と物理空間のバランスが、近い将来逆転していくような気がする。インターネットは、情報空間の最も基本的なインフラストラクチャーである。」(4頁)、「リンクによって膨大な情報がどんどん結び付けられていくさまを見ていると、私は赤ん坊の脳の成長過程を思い出す。赤ん坊の脳の中で、はじめ神経細胞はばらばらの状態にある。しかし成長するに従って、各神経細胞から樹状突起と呼ばれる枝状の組織が延びていって、それがお互いに結びつき合うことで細胞と細胞が複合的に結合していく。それによって神経細胞は組織化され、知性を持つ脳となっていく。」(12頁)とあります。 立花隆は、今の生成AI時代まで見据えていたことジャーナリストの鏡とも呼べる人物だったとあらためて感じます。 情報空間のなかで我々おぼれないようにしていくことが日々の生成AIとの対話でも必要ですし、まして構造的なアプローチに思いを巡らせるにはバランス良い生成AIとの付き合いも必要でしょう。 私は情報ソース(マスコミ、様々なプレスリリース、インターネットなど)からのニュースを毎日追いかけながら、人とのネットワークを大事にオンラインの会話、リアルな場面での話題交換、メールでの様々な情報のやりとりには応えつつ、バランスよく様々な見方や情報は極力、幅広く得るようにしています。 世の中の情報をつなぎ合わせて見ていくと様々なことが感じられるのも事実です。それらの毎日の情報の中に定点観測している調査や分析のデータが公表されていて、これらも可能な範囲で追いかけておくことも大事です。OECDなどで行っている世界各国の様々な比較データや世界の中での位置づけを踏まえた競争力分析などの定点観測は非常に貴重なものです。 しかしながらどれだけの情報を得てもきりがありません。その日々の情報に付加価値をつけて感じ取ることができれば何かが見えてくることも結構あります。インターネット時代がはじまったのは1995年で、今から30年前です。今回の生成AI時代2024年からとすると、その30年後の2055年は一体どういう世界になっているのでしょうか。 私はとても想像もつきませんが、今の延長線かもしれませんが、社会のあり方の変化はインターネット時代とは比べようもない変化が生じている気はします。おそらく今の延長線上にはない時代になっていると思います。 そうした中で、ここで大事なことは毎日の情報とは別に、様々なことを歴史から紐解いて分析したり比較している研究者やリサーチャーがいること、様々な過去のもの(書籍やレポートなど)を読み直してみることです。時間や手間をおしまずフィールドワークをしてその内容を分析し構造的な変化を発信している人々がいるので、それらに気づき、考えることなどが大切です。時間が限られていますが、自分の専門領域をベースにしながらその周辺や飛び地にも関心を持つことを続けていけることが大事だと日々感じているところです。 皆さんどうでしょうか。 その中で特に意識すべきことは、情報の海を泳ぐときに①捨てる情報を早めに見極めること、②情報の優位性やプライオリティをつけること、③情報に多様性を内包すること、特に国内情報に偏りすぎないことを担保すること、④生成AIをしっかり活用して時間を節約すること、➄何かの関心あるテーマでまとまった論考を読みこむこと、これらの5点は基本ではないでしょうか。 特に大事なのは①と③と➄だと思います。①の捨てる情報は専門領域と関心領域以外は捨てるという単純な形ではなくて、何か心の感性で選んでいくことを経験の中で培う必要がある気がします。これは意識しないと出来ません。 ➂と➄は、テーマとして、私は資本市場、世界情勢、日本の社会課題(人口減少)、イノベーション、テクノロジー、世界の競争力などは常時ウォッチの対象にして対処しています。皆さんなりの情報の海との付き合い方のソフトなルーリングをされたらいかがでしょうか。 足元、アメリカのベネズエラ軍事進攻で幕をあけた2026年、イランとの泥沼の紛争が長引きAIの進化がとまらず、エポックメーキングな年として記録に残り、人々の記憶にも残る1年になると思われます。特に私が注目していることは11月のアメリカの中間選挙に対する動向や、トランプ大統領と中国の習近平国家主席との直接会談が数多くあること(習近平主席の9月の米国訪問、11月の深せんAPEC、12月のG20首脳会議など)に世界は目が離せないところだと思いますし、そうした米中関係の変化や新しい枠組みが世界を大きく変えていくこととなるでしょう。 そうした混迷する世界情勢を横目に、日本は成長戦略の具体化や人口減少社会に向けた更なる対応、防災などの危機管理対応、AIなどのテクノロジーパワーの取り込みなど、取り組むべきテーマは山積みすぎて収拾がつかないほどです。 その中で生じている構造的な変化をキャッチし、情報の海に溺れながら泳ぐしかないと思います。 情報の海に溺れるのはもはや仕方がないと思います。情報の海でどう泳ぐかということです。その中でのポイントの一つは情報の正確性です。情報の正確性を確保するためには、フェイクニュースの排除、また情報に内在している本質的な問題を指摘して、情報を鵜呑みにしないことの重要性でしょう。 この領域は様々な有識者が問題を指摘し喚起し続けています。そうした活動が個々人の「情報リテラシー」を確実に上昇させていくと思います。 例えば、山口真一著『嘘で満ちていく社会 データで読み解くフェイク時代の構造』(朝日新書2026年)では、身近な生活に入り込んでいるフェイク情報、なぜ人はフェイク情報に騙され広めるのか、フェイク時代をどう乗り越えるべきかなどについて、わかりやすく記述されています。また松村一志著『科学否定論はなぜ人をひきつけるか』(ちくま新書2026年)では、地球平面説、気候変動否定論、反ワクチン運動などの実例をあげつつ、疑似科学や陰謀論について解説しています。こうした社会学的なアプローチはこの時代極めて有用で、社会学や人間学などの領域からの分析や視点は、現代社会で欠くことのできない視点になっていると思います。 こうして情報についての重要性がますます高まっていく世の中では、個々人の「情報リテラシー」を高めていくことが極めて重要です。その中では、脳の活動の理解や人間とは何かを探求すること、心や心理学的な重要性など、人の有り様に、想いを巡らせていくことがより大切になってくると思われます。 そうした脳機能の理解を「学び」つつ、情報の海に溺れてそのトライアル&エラーから、自分自身の「情報リテラシー」をつけ、それが日々ブラッシュアップしていくように強く心掛けていくと、必ず個人の進化はあると思います。情報の海には泳ぎ型が必要です。泳ぎ型は「型」が必要で、それは自分の「学び」からしか生まれません。ここに皆さんの個性が生きてきます。 情報過多の中、ほんのひと時だけでもスマホやタブレット端末を置いて、AIフリーで思考を巡らす時間を意識的に持ってみてはいかがですか。皆さんの健闘を期待します。 2026年7月25日記(高校野球、暑いなかで大変です) イノベーション・インテリジェンス研究所 代表 幸田博人 |
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