資産形成から資産活用、そして承継へ(きづきアセット株式会社 代表取締役 谷本圭治)

この9月、敬老の日を迎えるなか、100歳以上の方が10万人を超えたことが話題になっていました。

日本社会の人口減少、高齢化が進んでいます。
家族や個人にとっての資産形成、資産活用、承継はまさに一丁目一番地のテーマになってきていると感じます。とはいえ、これを自分たちだけで抱え込むのは、なかなか大変です。

頼れる相談相手がいてくれたら、と思う方も多いのではないでしょうか。

ところが、英米では助言を必要としながらも、費用の負担が重い、身近に相談できる専門家がいないといった理由で助言を受けられない人が多く存在する「アドバイスギャップ」が、社会課題として語られてきました。

いま、日本でも同じことが起こりつつあると感じています。NISAやiDeCoの普及で資産形成に取り組む人は確実に増えてきています。しかし、何をどれだけ積み立て、いつ、どのように使っていくのかについて、相談する相手はまだ十分とは言えません。

加えて、家計を取り巻く環境も大きく変わりました。夫婦共働きが一般的になり、忙しい日々の中で、インフレや「金利のある世界」への備え、住宅ローン、教育資金、そして自分たちの老後資金づくりを考えなければなりません。

一方で、親の介護、親が築いた資産をどう取り崩して活用していくか(デキュムレーション)、親の判断能力が低下したときの資産管理、実家の空き家問題、相続まで、課題は現役世代が同時に向き合う場面も増えています。

これらは別々の問題ではなく、一つの家族の人生の中でつながっています。いま求められているのは、資産運用のアドバイスにとどまらない「ライフサポート」としての相談機能だと考えます。

AIの進化は目覚ましく、個別の問いには瞬時に情報や考え方を示してくれるようになりました。ただ、単発の質問への回答と、家族の価値観や状況の変化を踏まえて何年にもわたり判断を積み重ねていくアドバイスとは別物です。

連続性と個別性を理解したうえで、迷ったときには一緒に悩み、場合によっては立ち止まってもらう。そこに人としてのアドバイザーの役割があります。
だからこそ、担い手の育成が急務です。

資産形成の知識だけでなく、資産活用期の取り崩し、公的年金や社会保障制度、税や相続、認知症への備え、介護や住まい、不動産まで見渡せる力が欠かせません。税理士などの専門家と連携しながら、顧客の話にじっくり耳を傾け、長く伴走できる人材を、業界を挙げて育てていく必要があります。

私事ですが、私も50歳を目前にし、親は80代に入りました。いま親に何かあったとき、兄弟3人のうち誰がどう動けるのか。親がどこにどのような資産を持ち、介護が必要になったらどう暮らしたいと考えているのか。恥ずかしながら、十分に話し合えているとは言えません。

この仕事をしている私でさえそうなのですから、多くのご家庭も同じではないでしょうか。

資産形成から資産活用、そして次世代への承継までが円滑につながり、誰もが豊かに暮らせる日本にしていきたい。その一端を担えるよう、私自身も歩み続けていきたいと思います。

2026年9月25日記 きづきアセット株式会社 代表取締役 谷本圭治