足元、世界では、中東紛争などの世界情勢の変化、米国建国250周年、サッカーワールドカップ、日本では、様々な自然災害、日銀の利上げや株式市場や為替市場などのマーケット動向、株主総会開催のピークなど様々な事象が絶えず起きています。
日々の動きから何を「学び」、どういうことに関心を向けるかです。「緊急地震速報」のアラーム、最近ドキッとすること、明らかに増えていますよね。
今回は、足元頻発している地震から「学び」を考えてみたいと思います。
大事な「学び」の視点は、一般的な「学び」ということに加えて、地域をベースに「学ぶ」という視点と、時間のフレームワークの視点が必要という点が、本日の「学び」のテーマになります。
最近、日本全国で地震が頻発しています。
ここ半年に起こった震度5以上の地震は、本当に沢山全国津々浦々で発生しています。
今年に入っての大きめのもので、1月6日の島根県東部(最大震度5強)、4月1日の茨城県南部(最大震度5弱)、4月18日の長野県(最大震度5強)、4月20日の三陸沖(最大震度5強)、4月27日の十勝地方南部(最大震度5強)、6月25日の岩手県沖(最大震度6強)、6月26日の山梨県東部・富士五湖(最大震度6弱)などあります。
こんなにも相応の地震が頻発していること、また、地域が全国にまたがっていること、なぜでしょうか。不安になると思います。
こうした地震現象に、何か特徴的なことがあるのか関心を持ち、「学び」ともリンクさせていくことが大事です。そのためには、個々人が自分の時間を管理しすぎていないか、あるいは詰め込みすぎていないか、空白の時間を意識的に作ることなどとても大事です。
政府による「地震本部」(地震調査研究推進本部)というサイトがあります。
この地震調査研究推進本部は、1995年1月の阪神・淡路大震災後に、当時、地震の調査研究の成果が国民や防災を担当する機関に十分に伝わっていなかったということで、総理府(現在は文部科学省)に設置されたものです。
30年を超える活動を行っていて、この3月には、「地震調査研究推進本部 30年の資料集」をまとめていて、一覧できるものがあります。
最近の震度5を超える地震は、全国津々浦々で起きていて、その要因もそれぞれで、これらの地震が連動しているということはないとのことですが、将来の大きな地震を身近に感じ不安にもなります。また、足元の山梨県の地震、富士山の関連とは無関係とのことです。
こうした地震分析の内容を一般の方が理解することは難しい面が強いと思いますが、様々なデータを確認することができ、こうした情報の蓄積が継続的、体系的に行われていることは心強いと思います。
また、海外での地震も、大きな被害をもたらしています。6月には、6月8日にフィリピンのミンダナオ島付近でマグニチュード8.2の規模の地震が発生し大きな被害をもたらしました。
さらには6月24日にベネズエラでマグニチュード7を超える地震が発生し、その被害は正確には把握できておらず、死者は数千人の規模を超えているといわれていて、更に被害の拡大が懸念されているところです。
日本の場合、これだけ頻繁に全国各地でそれなりの規模の地震が次から次に起きているので、その都度「緊急地震速報」がけたたましく鳴り地震が生じることを知らせ、その後NHKでの被害状況把握の緊急ニュースが流れるなど身近な状況として、生活にも組み込まれています。
日本国民が必ずしも万全の備えができているわけではありませんが、地震を身近なものとして捉え、個々人がそれなりの構えでの対処の必要性に気持ちを持つことはそれなりにできているところがあります。
しかしながら、フィリピンやベネズエラにおいては、耐震構造の建物も少なく、地震に対する日々の備えも十分には取られていない厳しい環境下にある中で、こうした悲惨な地震が起きると、その被害規模が極めて大きくなるということかと思います。
こうした地震災害に限らず、世界では熱波や気温上昇、台風や豪雨被害などの自然災害は、ますます大きくなり、被害が増加している傾向にあるものと思います。
世界が、分断的な様相を強める中で、こうした自然災害に対する備えを、もっと連携して協力のレベルをあげていくべきときに、世界の分断的状況がそうしたことにも影響を与えているのではと強く懸念されるところです。世界で自然災害に対処することを、連携、協力して、また災害予防対策向けの資金の拠出レベルをあげていくことは、ますます必要な時代にきているものと思います。
自分自身や家族などの未来への備えを考える視点を、さらに、社会レベルに広げて、日本の自然災害の大きさを所与のものとしながらも、何を未来つなげていくかは、是非個々人で考えていくべきことではないかと思います。
「学び」ともリンクさせていくことが求められます。地震は、地域の課題と密接にリンクしたものとして構成され、それが、過去の経験や歴史とリンクしています。
また、未来につなげていく観点でも、時間軸が長いことを意識して、どう継承し「学び」の風化に対抗していくという視点も必要でしょう。
寺田寅彦がかつて『天災と国防』(岩波新書:1938年)の中で論じたように
「文明が進む程天災によつて損害の程度も累進する傾向があるといふ事実を十分に自覚して、そして平生からそれに対する防御策を講じなければならない筈であるのに、それが一向にできていないのはどういう訳であるか。その主たる原因は、畢竟さういう天災が極めて稀にしか起こらないで、丁度人間が前車の転覆を忘れた頃にそろそろ後車を引出すやうになるからであろう。併し昔の人間は過去の経験を大切に保存し蓄積してその教えに頼ることが甚だ忠実であった。」(141頁)とあります。
身近な経験を大事にすること、過去の経験に「学ぶ」こと、歴史を継承し風化させないことなどが、現在の人間が行うべきことだと思います。それを、将来の人間に向けてバトンをタッチしていくため、記録を残すこと、記憶伝承していくこと、歴史から学んだことからの対策をとっていくことなど、災害事象を風化させないことを政府、自治体、社会、学校、個人など様々なレベルでの取り組み、大変大事だと思われます。
6月のように、全国で様々な地震のニュースが多すぎて埋もれてしまいがちになるところもありますが、こうした地震のニュースに慣れすぎず、日常に埋め込まれすぎずにしていくことが必要です。日々の生活の忙しさに埋もれてしまわずに、日本の災害大国の意識を強く持ち、時々様々な災害について思い起こすことが大事だと思います。
有名な地震学者である鎌田浩毅氏の『日本史を地学から読みなおす』(講談社現代新書;2025年11月)を見てみます。この新書では、先史時代(500万年前あたり)の日本列島から、温暖な日本の気候となった1万年前の縄文時代を経て、その後の古代・中世から巨大災害の歴史を見ていきます。地震災害の記録として、最古のものは現在の奈良県で599年に発生した「大和地震」で、「日本書記」の記載だそうです。
その後、様々な災害が日本列島を繰り返し繰り返し襲ってきていて、その時代時代で本当に巨大災害に会わなかった時代は見当たらないところです。そうした大きな災害を常に乗り越えて、現在の日本があること、あらためて認識ができます。
鎌田氏は、「災害の歴史を振り返ったら、それを未来に活かさねばなりません。」(8頁)と、言っています。その通りです。
鎌田氏は、3つの自然災害、「南海トラフ巨大地震」「富士山噴火」「首都直下地震」の脅威が迫っているとの認識です。巨大災害への備えをどうするか、様々な取り組みがされていますが、やはり個々人レベルの意識の向上が大事ではないでしょうか。鎌田氏は「教育面では、日本人の95%が中学校までの地学知識しか持たず、高校での地学履修率も5パーセント程度と低迷しています。
専門知識だけではなく、幅広い教養や人間力の育成、若い世代への知識・経験伝達が将来の災害対応に不可欠です。」とも述べています。自然災害に係る様々な「学び」を幅広い層の方々にさらにどう届けていくか、抜本的に取り組んでいくタイミングにきたと思われます。
そこに地域の「学び」、時間軸の「学び」の視点を入れていくことが、「学び」に深みを与えることにつながります。
2026年7月5日記(カボベルデ代表、アルゼンチンに善戦、すごいです)イノベーション・インテリジェンス研究所 代表 幸田博人)
