文化が国や社会の魅力を形づくる時代になっていると、改めて感じることが多くあります。四季、食、礼儀、街の清潔さ。そうした要素を求めて、日本にも世界中から多くの人が訪れています。
先日、国立の博物館や美術館に対して収入目標が課され、未達成の場合には再編が検討されるというニュースに触れました。
運営において財源の確保が重要であることは言うまでもありません。しかし同時に、文化の保全や継承そのものが、長期的には人を惹きつけ、結果として収益やファンを生み出してきた側面もあります。その本来の価値や順序について、改めて捉え直す必要があると感じました。
私自身、日本と海外をつなぐ取り組みや議論に関わる中で、日本の文化が国境を越えて評価され、人と人をつなぐ力になっていることを実感しています。
だからこそ、文化は短期的な価値だけで捉えるのではなく、その価値をどう育み、広げていくのかという視点も大切にしたいと考えています。
海外からの友人たちが来日し、食事を共にする機会がありました。しかし「牛肉は食べない」「豚もだめ」「鶏も難しい」「シーフードも控えている」といった具合に、簡単には決まりません。
一見戸惑う状況ですが、そこにこそ今の世界のリアルがあります。
食の選択は、宗教や文化的背景、価値観を反映するものです。人の移動が活発な現代では、こうした違いを前提に社会が成り立ち、それを尊重することが自然になっています。こうした前提に、社会やサービスがどのように向き合っていくのかを常に問い続けていきたいと感じます。
そんな世界の友人たちが日本の文化を心から楽しみ、感動してくれる姿を何度も見てきました。
日本は、世界に誇る文化を持っていると感じます。伝統文化に加え、ポケモンのようなコンテンツは国や世代を超えて親しまれ、人と人をつなぐ役割を果たしています。
さらに、『ONE PIECE』のような作品も、その物語が持つ「自由」や「正義」といった価値観とともに、現実の社会の中で象徴的な意味を持ち始めています。
アジア各国では、若者の間でその象徴的なモチーフが旗として掲げられる動きも見られ、こうした動きはCNNなどの国際メディアでも紹介されています。日本発の文化が、単なる娯楽を超えて、人々の価値観や行動に影響を与えていることを示しています。
「おもてなし」とは、単に丁寧であることではなく、相手の背景や価値観を理解し、受け入れる姿勢そのものではないでしょうか。
文化が人を惹きつける力を持つからこそ、その文化をどのように守り、開いていくのか。そうした問いに、私たちは向き合っていきたいと考えます。
(2026年3月20日 記 株式会社esa 代表取締役 黒川周子)
